蛍光灯を触ると……
皆さんは蛍光灯に触れたことがありますか?
ショーウィンドウを明るく照らす蛍光灯、キッチンに立つたびにひもを引く蛍光灯、学校やオフィスで昼夜を問わず灯る蛍光灯……
街のあちこちで見かける以上は、きっと一度はあるのではないでしょうか。
蛍光灯に手を伸ばして……
アチッ!
となった経験が。
最近は省エネの一環としてLED化が進んでいますから、そういう思いをすることも少ないかもしれませんが……
どうして蛍光灯は熱いのでしょうか?
蛍光灯が熱い理由
蛍光灯の仕組みに関してはすでに多くの情報がありますから、細かい情報を抜きにして説明するならば
蛍光灯は「無駄」が多いから熱い のです。
無駄が多いとはどういうことかと言いますと、
与えられた電力の多くが見えている光(可視光)以外になっている、ということなんです。
数字で見比べてみましょう。
入力する電気エネルギーを100%とした場合、一般的な白熱電球の場合は10%程度、蛍光灯の場合は20%程度ですが、LEDの場合は30~50%といわれています。
https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/led/knowledge/conversion-efficiency.html
20%のエネルギー効率ということは、残りの80%は見えている光(可視光)以外のもの、
つまり 赤外線などの目に見えない光や、熱に変換されている ことになります。
これが「無駄」の正体です。必要なのは目に見える光であって、
お客さんを アチッ! とさせるためにショーウィンドウにつけているわけはありませんね……
(研究者の方があえて目に見えない光を使うことはありますが……)
そういうわけで皆さんが蛍光灯に触るときには、無駄な「熱」を感じていることになります。
無駄をなくすには
以上の内容を踏まえて皆さんが思ったであろうことは、そう。
電気を100%光に変換すれば熱なんて出ないじゃん!
その通りです。その通りではあるんですが……

我々が購入できる中で熱が出ない光源はありません。LEDでもダメです。
実験室レベルでは100%に近い変換効率を示すこともあるそうで、ありませんというと語弊があるのですが、「一般に購入できるもので」という話になるとこれはないと言って差し支えないでしょう。
非常に残念なことですが……
実は、エネルギーを変換するとき無駄が出る問題 はかなり難しいテーマなんです。
例えば発電において、太陽光パネルや羽根に当たる光や風のエネルギー全てが電気になるわけではありません。

たいていはそのまま素通りしたり、むしろ発電を妨げたりします。
そう、「無駄」です。
車のエンジンだって、音や廃熱は「無駄」と言えます。

「僕はね、ガソリン臭くてね、燃費が悪くてね、音がいっぱいでる、野性味あふれるクルマが好きなんです」
https://www.youtube.com/watch?v=b2OH_yiT9gg
という豊田社長の発言に基づけば逆なのでしょうが……
この「無駄」を少しでも小さくすべく、様々な分野の研究者や技術者が日夜研究を進めています。
我々の電気代やガソリン代は、研究の未来にかかっているのです。
蛍光灯の未来
ところで、蛍光灯には未来がありません。
とんでもないことに聞こえますが、なんと事実なんです。
「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」で、全ての一般照明用蛍光ランプについて、製造と輸出入の禁止が2027年末と決定しました
https://www.jlma.or.jp/led-navi/contents/cont09_mercuryLamp.htm
つまり、
2027年末以降、一般家庭で使う蛍光灯は作れなくなる
ということです。
直ちに購入できなくなるわけではありませんし、先述の通り研究用などとして残る可能性はありますが、私たちが目にする機会は大いに減ることが予想されます。
すこしだけ、残念な思いもありますね。
とはいえ蛍光灯はLEDに比べ性能が劣る部分もありますし、時代の流れなのかもしれません。
蛍光灯とLEDについては「消費効率で単純比較してはいけない」という間違えがちな点がありますので、またまとめて投稿しようと思います。
お読みいただきありがとうございました。
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